米債務上限問題
2023/06/11
米債務上限問題(あめりかさいむじょうげんもんだい、Debt Ceiling)とは、アメリカ政府の借金の額が法律で定められた上限に到達してしまい、債務不履行(デフォルト)が発生して、経済や金融市場に混乱を引き起こすかもしれない、という問題。
そもそも論
債務上限の目的
- 債務の上限を設定し、政府の財政を制限することで、過度の借金による財政破綻や経済の不安定化を防ぐ
- 政府は財政のバランスを保ちながら適切な借金を行い、支出と収入のバランスを取る必要が出てくる
なぜもめるのか
- 共和党・民主党が、デフォルトを人質に自分たちの意見を通そうとしている
- 「デフォルトさせたくないなら、我々の意見を飲め」
- 債務上限を引き上げるためには、議会の承認が必要
- 両者、自分の意見を通したい・妥協したくないのでギリギリまで交渉する
- デフォルトのリスクが大きすぎるので、最終的には妥協して合意するだろう、とみんな思ってる
- 議員もマスコミも国民も投資家も
- でも、ギリギリまで決まらないので、結局、みんな気にするしかない
デフォルトすると何が起こるか
米国債が債務不履行(デフォルト)になると、以下のような問題が起きうる。
- 支払いの遅延・停止
- 公務員への給与、社会保障の給付、国債の利息・償還金の支払いなど、あらゆる支払いが遅延したり停止する可能性
- 信用格付けの低下
- 信用格付け機関が政府の信用格付けを下げる可能性
- 金利の上昇
- 政府の信用力低下により、債券の金利が上昇
- 経済への悪影響
- 金利上昇や緊縮財政などにより経済が大きな影響を受け、景気後退や不安定化を引き起こす可能性
- 金融市場の不安定化
- 金融市場に混乱をもたらし、株式や債券市場の価格の下落や不安定化が起こる可能性
- 国際的な信用失墜
- 国際的な信用が大きく損なわれる
2023年5月の問題
- 共和党・民主党は対立している
- 共和党は、債務上限を引き上げる条件として、大幅な歳出削減を要求
- バイデン大統領(民主党)は、無条件での引き上げを要求
- 議会はねじれている
- 上院の過半数は民主党、下院は共和党
- ただし、現在の世論は共和党支持に傾いている
- 民主党の財政支出(コロナ関連などを含む)がインフレの一因、と共和党が主張
- この主張が米国民に受け入れられている模様